紛争解決の手続費用

1.委任契約

金額乃至金額の算定方法は、依頼者と受任弁護士との委任契約で定め、委任契約書に記載します。
着手金は、金額を定めます。
報酬金は、金額の算定方法を定めます。
金額の算定は、基準に拠ってしますが、ご希望があれば、検討します。

2.手続との関係

(1)委任契約は、手続毎に締結します。
交渉の委任契約を締結して交渉したが、和解不成立となって、民事訴訟を提起する場合は、改めて、民事訴訟の委任契約を締結します。
しかし、この場合、交渉の着手金も、民事訴訟の着手金も、減額し、交渉を経たことによって全体の着手金が増額とならないよう配慮します。

(2)民事訴訟で、第一審を受任したが、和解不成立で、判決となり、その判決に対して控訴されて応訴する場合、或いは、こちらから控訴する場合は、第二審の委任契約を締結します。
この場合の第二審の着手金は、原則として、30万円とし、事案によって増額します。

(3)報酬金も、手続毎に定めますが、次の手続を受任する場合は、先送りとなります。
例えば、第一審で勝訴しても、相手から控訴された場合は、引続き第二審を受任した場合は、第一審の報酬金はご破算にし、第二審の結果に応じて算定した着手金をお支払い頂くことになります。

3.手続費用の分類

手続費用は、着手金、日当、報酬金、これらに対する消費税、実費に分類されます。

4.民事事件・家事事件における費用の説明

(1)係争利益と獲得利益

係争利益は、着手金の算定基準額であり、獲得利益は、報酬金の算定基準額です。

係争利益は、債権の場合は、その債権額、債権以外の財産、例えば不動産については、その財産の時価を基準として算定します。
金額で評価できない身分関係、例えば離婚については、800万円と擬制して算定します。
その結果、離婚訴訟の着手金の標準額は、800万円×5%+9万円=49万円となります。

獲得利益は、手続終了後に、争いの金額につき、どの程度の割合で獲得したかの金額です。
例えば、1000万円の貸金訴訟において、和解で700万円の一括払いを受け、残金を免除する和解をした場合は、700万円が獲得利益となり、報酬金の標準額は、700万円×10%+18万円=88万円となります。

(2)各費用の説明

①着手金

受任する際にお支払い頂く費用です。
争いの金額の5%+9万円が標準額です。
30%以内で増減することがあります。
100万円を超える場合は、30%以上減額することがあります。
途中で辞任することがあっても、原則としてお返しすることはできません。

②日当

裁判所が遠方である場合などに、赴く度に、1回当たりの金額を定めておいて、お支払い頂く費用です。
交通費を含みます。
千葉県内の支部であれば、1万円乃至1万5000円程度が標準額です。

③報酬金

手続の終了時に、獲得した利益に応じてお支払い頂く費用です。
獲得した利益の10%+18万円が標準額です。
30%以内で増減することがあります。

④消費税

着手金、日当、報酬金については消費税が掛かります。

⑤実費

実費は、印紙代、郵券、謄写費用などです。
予め必要と思われる金額をお預かりし、不足すれば追加してお支払い頂き、委任終了時に精算し、残金をお返しします。
債務整理の場合、報酬金を請求しない代わりに、残金を報酬金とすることがあります。

裁判をする場合の費用の一覧表
着手金争いの金額×5%+9万円(消費税)
報酬金(目的を達したとき)獲得した利益×10%+18万円(消費税)
日当(本庁以外の裁判)1万円~1万5000円(消費税)
実費印紙代・郵券・謄本取得費など

5.債務整理における費用の説明

(1)任意整理

債権調査の着手金は、債権者1社当たり3万円です。
債権者数が10社以上の場合は、30万円です。

債務弁済和解契約が成立した場合の報酬金は、債権者の請求額から減額した金額の10%+3万円乃至10万円です。

過払金を取立てたときの報酬金は、債権者の請求金額から減額した金額の10%+過払金10%~25%です。

(2)個人の自己破産

着手金は、30万円乃至50万円です。
少額管財事件となった場合は、予納金20万円が必要となります。
報酬金は、請求しません。

(3)法人の自己破産

着手金は、50万円乃至100万円です。
実費預り金を10万円程度お支払い頂きます。
売掛金を回収する等して、財産を確保したときは、その金額の5%乃至10%の報酬金が掛かります。

(4)小規模個人再生

着手金は、50万円乃至70万円です。
再生手続終了後辞任する場合は、減額します。

6.刑事事件における費用の説明

(1)被疑者弁護

着手金は、30万円です。

報酬金は、以下の場合に請求します。

着手金30万円
勾留請求が棄却されたとき30万円
示談が成立したとき20万円乃至30万円
不起訴となったとき20万円乃至30万円
略式起訴となったとき10万円乃至20万円
(2)被告人弁護

着手金は、30万円乃至50万円です。

被疑者弁護から引続き被告人弁護を受任する場合は、減額します。重大事件、裁判員裁判、否認事件の場合は、増額します。

報酬金は、以下の場合に請求します。重大事件、裁判員裁判、否認事件の場合は、増額します。

着手金30万円乃至50万円
保釈されたとき20万円乃至50万円
示談が成立したとき20万円乃至30万円
執行猶予となったとき30万円乃至50万円
減刑されたとき10万円乃至20万円
無罪となったとき50万円乃至100万円